モバイルでも固定IPアドレスを使いたい。

モバイル固定IP とは
モバイルルーターは、家庭に設置する無線LANルーターのように限られた場所で使用するというわけではなく、どこにでも持ち運ぶことができ、好きな場所からネットに接続することができるルーターです。こうしたモバイルルーターも、当然IPアドレスによって管理認識されているわけですが、プロバイダによってモバイルルーターに対して固定IPが発行されるのか、それとも変動IPを割り振るのかという点は異なっていて、プロバイダ次第です。
変動IPの方が固定IPよりも管理費がかからないため、各プロバイダでは少しでもリーズナブルにサービスを提供するという目的で、一般的にはモバイルルーターに対しては変動IPを割り振っています。しかし、プロバイダによっては、別料金がかかるものの固定IPを取得できる所もあり、2020年現在においては、格安SIMではインターリンクLTE SIMとASAHIネットLTEの2社で固定IPアドレスを取得することが可能です。
モバイル固定IPの仕組み
固定のネット回線の場合には、ルーターがグローバルIPを認識するという仕組みになりますが、モバイル固定IPの場合には、固定されているルーターがあるわけでもなければ、ネット回線と契約してIPアドレスを割り振ってもらえるわけでもありません。モバイルデバイスを利用する場合には、スマホやタブレット、そしてモバイルルーターの中に挿入されているSIMカードが、この認識番号の役割りを果たすことになります。
SIMカードにはそれぞれ認識番号(シリアル番号)がふられていて、これをプロバイダーが管理します。SIMカードにはすでにネット接続のためのルーター的な機能が搭載されているので、ネットに接続する際にはグローバルIPを割り振ってもらうことができるのです。 モバイル固定IPでは、このグローバルIPを固定IPでSIMに割り振ってもらうというサービスとなります。仕組みそのものは家庭に設置する無線LANルーターと変わることはありません。

インターネットを高速モバイル通信(モバイルルーター)で行う場合も、光回線で行う場合も、覚えておきたいのが「IPアドレス」の概念です。
IPアドレスには主に「固定IP」と「変動IP」があり、それぞれに特徴があります。
変動IPは、同じ端末からのアクセスかどうかを特定が多少はされにくくなるというメリットがあります。
固定IPと変動IPアドレスについて
そもそも固定IPとは何でしょうか?
一般的に自宅でインターネットを使えるようにするには回線契約に加え、「プロバイダ契約」も必要です。
わかりやすく例えると、回線契約とは自宅に線路が通るようにすること、そしてプロバイダ契約とは自宅に駅を設置することです。
駅がなければ電車は自宅を素通りしてしまい、インターネットにアクセスできません。インターネットにアクセスするには駅(プロバイダ)を作り、駅から情報を出入りさせるイメージです。
プロバイダ契約は自宅に駅を設置するようなもので、その駅は当然、世界に一つしかない駅で、他人の駅と混同されることはありません。
固定IPは住所のようなもの
その時に割り振られるのがIPアドレスです。IPアドレスとはプロバイダという駅の住所のようなものです。
自分の家の住所は世界に一つしかないのと同じで、プロバイダ契約をしたときに割り振られるIPアドレスも世界に一つ、これが「固定IP」です。
光回線を契約し、自宅に回線を引き込んでモデムを設置するということは、IPアドレスを取得することと同義です。
モデムにルーターを接続すれば複数の端末でインターネット利用が可能ですが、それらの端末はすべて一つのルーターにアクセスするため、同じIPアドレスです。これはつまり、同居している家族はみんな住所が同じ、という理屈です。
自宅のインターネット回線が固定IPならば自宅のPCを遠隔操作できたり、WEBカメラを自宅に設置して遠い場所から観覧ができたりします。
さらに固定IPならば自宅でサーバーを構築し、レンタルサーバーなしでWEBサイトの公開が可能です。
逆に、後述する変動IPだと、これらの固定IPならではの機能が使えなくなります。
固定IPは重要
普段、インターネットを何気なく利用している分にはIPアドレスの存在はあまり重要ではないですが、インターネットが犯罪などに使われたとき、警察はIPアドレスを辿って犯人を特定します。
このようにIPアドレスは、ある程度のインターネット上の秩序を守るために必要な存在なのです。
プロバイダ事業を簡単に解説すると、インターネット利用する顧客のIPアドレスの管理、提供、ということです。
変動IPって何?
インターネットを利用する際にIPアドレスは必須の存在です。
上記の固定IPに対して、固定ではなく空いているIPアドレスが順次割り当てられていく仕組みでIPアドレスを保持することを「変動IP」、または「動的IP」と呼びます。
変動IP方式でインターネットを契約すると、変動IPを利用している者同士で空いているIPアドレスを使い、使わないとき(PCの電源を切ったとき)にはIPアドレスを失い、別の人がそれを使う、という形で、IPアドレスを共有します。
このため変動IPでインターネット利用をすると、インターネットにアクセスするたびにIPアドレスが変わります。
IPアドレスはプロバイダーによって変わる
利用するインターネットのIPアドレスが固定IPか変動IPかは契約するプロバイダによって変わります。
変動IPのほうが維持コストを安くおさえることができるため、変動IPを採用しているプロバイダ業者は利用料金も安くなる傾向にあります。
しかし上記で解説したように固定IPでしかできないこともあるため、自分の目的に合わせて固定IPと変動IPのどちらが望ましいかを判断し、プロバイダ業者を選ぶことが大切です。
モバイルルーターで利用の場合のIPアドレスは?
光回線は自宅(世帯)に回線を引き入れ、自宅にインターネット接続のためのモデムを設置することです。
それに対して高速モバイル通信はモバイルルーターを利用して、無線でインターネットにアクセスする仕組みです。
モバイルルーターはワイヤレスで小型のために持ち運びも容易で、野外でインターネット通信も簡単にできます。
このため現在住んでいる住所から引っ越しをしても、契約を変えずにモバイルルーターを使うことができます。このように引っ越しても使えるのが高速モバイル通信の大きなメリットです。
SIMカードが個人識別の役割を果たす
高速モバイル通信を契約するとSIMカードが発行され、そのSIMカードをモバイルルーターにセットして使います。つまりSIMカードが個人識別の役割を果たします。
モバイルルーターを使ってインターネット接続をする際も当然、IPアドレスが割り振られます。固定IPか変動IPかは光回線利用と同じで契約するプロバイダしだいです。
現在は世界規模でIPアドレスが枯渇状態のため、その理由から上記でも少し触れましたが、固定IPは維持コストが高くなる傾向にあります。
そのため固定IPにこだわる人がオプションサービスで固定IPを取得し、通常プランは変動IP、というスタンスが主流になりつつあります。
基本は変動IP
以上のことから高速モバイル通信を提供する事業社のほとんどは基本的に変動IPです。そしてプロバイダによっては有料オプションで固定IPを取得できる、というケースが多くなっています。
インターネットのライトユーザーが主な利用者という状況の高速モバイル通信では光回線と比べてもその傾向が顕著になっています。